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Book Soup② 『うつくしい子供』
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ずいぶん再読してなかったけど、ずっと頭の中から離れない短編がトルーマン・カポーティ『うつくしい子供』です。なんで思い出したかっていうと、先日のNY滞在が尾を引いていて、自分が観たNYの風景をまた確かめたかったのでした。
時-1955年4月28日 昼下がりの散歩にはうってつけの天気
場面-ニューヨーク・シティ、レキシントン・アヴェニューと52丁目の角にあるユニヴァーサル葬儀場の教会堂。
共通の知人であるコリアー女史の葬儀に参列するため、マリリン・モンローをカポーティ(以下TC)は待っていた。
30分は遅れて登場したマリリンは、いつもどおり少し混乱し、ちぐはぐで、無防備で、お金を1セントも持っていないのにシャンパンで唇を潤したがった。
葬儀が終わり、2人は三番街の古道具屋のショーウインドウをひやかしながらぶらつき、二番街の中華料理屋へ入る。マオタイ酒を飲み、他愛のない話(彼女の最新の秘密の人、アーサー・ミラーのこととか)をしながらシャンパンに移る。
そして、二人は、マリリンの好きなとこ=サウス・ストリート・ピアにタクシーで移動する。中華料理屋から失敬した“占いクッキー”
をカモメにあげたいとマリリンが言うから。
夕暮れの潮風の中、マリリンはいつかTCに尋ねた「あたしがどんな女か、人に聞かれたら、ねえ何て答えるつもりなの?」と再び問いを投げかける。TCが少しのいじわるを込めて返した返答のあと、すべての夕暮れの光がマリリンに降り注ぐような真情をひとつのフレーズにする…
是非読んでください、『カメレオンのための音楽』(野坂昭如訳)の中の一編です。(K)