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よみかえす2015①

Grasshoppa!
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よく“生涯ベスト1映画!”とか“無人島に持ってゆくDISC10枚”みたいな話は、バカな友人たちと、同じ話を繰り返しながら、お酒を飲みながら30年以上しつづけているわけだけれども、意外に本の話でこの手の話がでたことなくて。
最近の映画の企画のよもやま話で、また向田邦子の話が出たので、今回は映像じゃなくて、本を読み返してみようかな、と思い会社の本棚を探してあった4冊をひっぱり出して、『隣の女』だけよみかえしてみた。
読みながらクスリと笑い、うまいな~とうなり、最後の夫婦善哉みたいなくだりでホロリとくる。「集太郎は起き上がると、サチ子のたくましい尻をひとつ、パーンとたたいた。サチ子はくるりとうしろを向き、両手をおおってすすり泣いた。」“くるり”だか“ひらり”だかわからないけれども、ストーリーのあっちこっちへいくさまが、そして最後は懐に“スポッ”と収まる気持ちよさがなんともいえません。そして“つましい日常”から一瞬だけ逸脱する人生の機微、高揚感。そして必ず日常に生活に戻ってゆくいとしき登場人物たち。“生涯の一冊”というよりは、“ソファの肘掛にいつも積んでおく一冊”にふさわしいかな。(K)

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